場所になじむ
新築でありながら、まるで昔からそこにあったように
周囲になじむ住宅です。

お施主様が自ら描いた手書きの図面から始まりました。
設計は東京に事務所を構える株式会社佐野修設計事務所。
お施主様と設計者様と共に、険しい雑木林に
足を踏み入れ建物と残す木と空地のバランスを考え
伐採を行ったそうです。
契約まで
見積時期は、ウッドショック後の資材高騰期。
住宅のそれまでのコスト感では住宅が建てられなくなり出した時期です。
予算内に収まるよう、何が必要なのかよく見極め、機能が損なわれないよう工夫し、
最初の思いがぶれないよう、設計者・お施主様・施工者、各々の立場で協力し、
提案→見積→検討→提案→検討→見積→提案→・・・・、
を何度も繰り返し、洗練された“納得”のプランが出来上がりました。
工事
在来注文住宅はワンオフ!!
初チャレンジの納まりや形式が盛り沢山です。
例えば、構造体の梁をみせつつラワンベニヤ張りの天井、
空間をシンプルに見せるアルミアングル入巾木等々、
コストを踏まえたうえで綺麗に見せるため作り方、材料の選定、
等々、各職方と経験と知識を振絞り様々なことを検討して工事を進めます。

後でわかったのですが、このアングル入巾木、掃除機掛けの際、 通常埃の取りにくい壁際で吸い込みの流速が上がって気持ちよく埃が吸い込まれます。
鏡の位置、飾り棚の高さ、照明の位置、お施主様自ら現場に立ち実感覚で決めていきました。

現場で検討に検討を重ねた飾り棚

洗面所は、お施主様の“好き”が集まります。今回も例外なく、
玄関からリビングを望むと、その先には林の緑が広がります。
玄関扉を開けて感じる、室内と周囲の自然の一体感。
部屋と続きに庭の先の雑木林に視線抜ける

リビングから廊下への眺め。

キッチンの上のハイサイド窓からは山桜の樹が望める
リビングから廊下への眺め。

お施主様が自らデザインしたキッチン。 ステンレス天板とシンプルな収納デザインが 淡いブルーグレーの タイルと木の素材の温もりと心地よく調和しています。

周囲の雑木になじんだ外観の通り、
内部も至る場所で周囲の静粛が感じられ、快晴の日に建物に入り込む光さえも静粛さを壊さない落ち着いた光に感じます。
和の建物ではないのに、和のしんみり感が漂う建物です。